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2025/07/09 15:19
7月2日(水)~6日(日)で行った試飲販売会の報告レポートです。ですが、先日のフィネス試飲会を踏まえての2023年ヴィンテージの話も併せて書いていましたらだいぶ長くなってしまいそうなので前編・後編に分けることにしました。
ということで、今回の前編ではこの試飲ラインナップの中で個人的に試したかった比較試飲と2023年ヴィンテージのお話を書こうと思います。
サヴィニー・レ・ボーヌ、ショレイ・レ・ボーヌ、ボーヌ比較試飲

サヴィニー・レ・ボーヌ
ショレイ・レ・ボーヌ
ボーヌ
この3つの隣接した村のテイスティングというのがなかなかマニアックで面白かったですね。同一ヴィンテージ・生産者で比較することにより、より個性の違いを明確に感じることが出来ました。

サヴィニー・レ・ボーヌは2つの丘の谷間に位置した村で、両丘の斜面に沿って畑が展開されており急こう配かつ非常に水捌けの良い土壌。ショレイ・レ・ボーヌはその丘の裾野にあたり、緩やかな平坦な畑が広がるエリア。ボーヌは畑のエリアぎりぎりまで町が展開していて、丘の中腹までは緩やかな斜面で上部になると一気に急こう配になる。
もちろん土壌形成もそれぞれ異なり隣接しているといってもかなり個性が違い、ワインにもそれは見事に表れておりました。
グリオットチェリーを思わせる甘く華やかな香り、綺麗な酸味と甘みがふわっと広がり、タンニンも穏やか。サヴィニー・レ・ボーヌ村のワインはこの爽やかな口当たりが特徴で、このワインは正にその特徴が表現されていました。旨味(ミネラル)は複雑で様々な種類を感じることができますが、強い主張があるわけではないのでかなり合わせられる料理の幅は広そうです。筑前煮に合わせたら美味しそうというコメントがありまして、それはピッタリかもしれません♪
オレンジのような柑橘の風味、サヴィニー・レ・ボーヌに近い赤いベリー系の果実味がありますが酸味の主張がはっきりしており、そしてベースに鶏肉の旨味がしっかりと感じられます。少しソバージュな部分がありますが、クラシカルなブルゴーニュワインという印象。恐らくこの印象の部分がショレイ・レ・ボーヌの個性なのかもしれません。シンプルにオーブンで焼いたローストチキンや焼き鳥を、このワインをソース代わりに楽しむと最高!...だなと試飲しながら考えてました。
前の2本とは違い、ブラックチェリーのような黒い果実味が感じられ、その脇をクローヴやアニスといったスパイスの風味が支える。タンニンも豊富でこの3本の中では最も力強いワインといった印象。タイムのようなハーブの香りもあり非常に複雑性に富んでいました。ボーヌ村の畑は丘の斜面に沿って南北に長く広がっていて、場所により味わいの違いがありますがロンボワの畑は南側の丘の最上部の区画で、粘土石灰質土壌のミネラル豊富な畑のようです。
実はこの3本のワインでもう一つ確認しておきたかったことがありました。それが2023年のブルゴーニュの個性。
ジュヴレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネといったコート・ド・ニュイ側のトップ生産者達の2023年ヴィンテージも、もうそろそろリリースされてくるかもしれないので、事前に把握しておきたいなと思っておりました。
そして、タイミングよく先日参加したフィネスの試飲会で何本か2023年ヴィンテージが登場していたので、それも踏まえて自分なりの分析を少し書いてみます。
2023年ヴィンテージについて

試飲した印象としては率直に素晴らしいヴィンテージ!この一言です。アルコールや果実味の強さはありますが、白・赤共に酸が豊富で特に白は酸に加えミネラリティな部分も併せ持ち、欠点らしい欠点が見当たらない非常にバランスの良い味わい。ジャン・マリー・ブズローやフォンテーヌ・ガニャールのワインは最高の味わいでした。
※白ワインはサヴィニー・レ・ボーヌ、ムルソー、シャサーニュ、その他ACブルゴーニュあたりの試飲だったのでシャブリやマコンあたりはまた違う印象になるかもしれません。
赤は前述の比較3本でも感じていましたが、タンニンの質がきめ細やかで果実味が甘くとても飲みやすい印象。飲みやすいと書くと軽い感じ?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが決してそんなことはなく、酸をしっかりと感じられることでより果実の甘味を楽しめ、かつ渋味にストレスを感じない。だから飲みやすいといったところでしょうか。前述のクリスチャン・ベランのサヴィニー・レ・ボーヌは正にその味わいそのものといった感じです。試飲会に出ていたメオ・カミュゼのマルサネも良かったですね。
2023年は気温の乱高下や嵐の影響があった場所もあるようですが全体的に気温が高かった年で、特に収穫時期にあたる9月は熱波の影響により夏を超える40℃近い気温の日も観測されるような暑さだったそうです。ですので、試飲する前のイメージとしては2020年や2015年のような非常に濃厚な味わいを予想していましたが、その予想は良い意味で裏切られました。
そして、2023年ヴィンテージのとても良いところが収穫量が多かったこと!多かったと言われる前年の2022年より10%近く、直近5年間の平均からは約30%も収穫量が増えたとのことです。特にコート・ド・ニュイのマルサネ~モレ・サン・ドニあたりの出来は素晴らしいようで、先日ブルゴーニュ在住の日本人の方から聞きましたが、マルサネ村のジャン・フルニエは過去最高の収穫量だったそうです。
残念ながら、ワインの価格が下がることはなさそうですがここから本格的なリリースが始まる2023年ヴィンテージ、購入を強くおススメ致します!味わいが素晴らしいというのはもちろんですが、その次の2024年は収穫量が激減することを考えるとこの機会は逃さない方が良いと思っています。
後半は試飲販売会に出たその他のワインと、ギルベール・ジレについて書いていこうと思います。