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2026/06/17 19:04

久しぶりのテイスティングレポートです。

今回は先週試飲したジェシカ・リトーのレポートをしようと思います。本当は先月行ったマルサネ比較試飲を先にアップしようと思ったのですが、タイムリーなほうが良いかなということでジェシカ・リトーが先となりました。マルサネ試飲のレポートも近日中にまたレポート致します。

【Jessica Litaud:ジェシカ・リトー】

マコン地区ヴェルジッソン村でヴィニュロンの家に生まれ育ったジェシカ。彼女が家業を継ぐ決心をしたのは、20歳を過ぎてからのことでした。リヨンで暮らしていた頃、色々なワインバーを巡るうちにワイン造りへの情熱が芽生え、地元の醸造学校に入学。地元ヴェルジッソンの鬼才ギュファン・エナン、ジュラ地方のカリスマ生産者ジャン=フランソワ・ガヌヴァに強く感銘を受けたジェシカは、卒業後は両者の元で働くという幸運に恵まれました。自然派ワインで世界に名を馳せるこの2大巨匠の元で経験を積んだジェシカの存在は瞬く間にワイン業界で話題となり、2018年に自身のドメーヌを設立した後は、わずか数年で、マコンを代表する造り手の一人として知られるようになります。(輸入元資料より)


そんなジェシカ・リトーですがお世辞抜きに凄く良かったです!2018年と設立されて間もないドメーヌですが、作られる作品はみなピュアで非常に洗練されております。一口飲めば彼女のセンスと仕事の丁寧さを十二分に理解することができるでしょう。2025年にフランスで最も権威あるワイン誌『Revue du Vin de France(RVF)』にて大きく取り上げられたことも納得の味わいです。

【テイスティングレポート】


今回試飲したのは、
2024年 マコン・ヴェルジッソン ラ・ロッシュ Mâcon Vergisson La Roche
2023年 ロザリ Rose à Lies
2024年 アペロ・ヴァン・ズー L’Apéro Vin’Zou
2024年 プイィ・フュイッセ ラ・サンプレキシテ Pouilly Fuissé "La Simpléxité"

ロザリとアペロ・ヴァン・ズーはすべての畑のセカンドプレスをブレンドしたキュヴェ。ロザリは1級畑を含むのに対し、アペロ・ヴァン・ズーは1級畑を含まない点が違いです。この二つのキュヴェは彼女のセンスが抜群に発揮されている素晴らしいワインで、セカンドワインのような捉え方は全くの間違いです。

どれもそれぞれ個性あふれる味わい!1本ずつレポートしていきます。

2024年 マコン・ヴェルジッソン ラ・ロッシュ Mâcon Vergisson La Roche
ドメーヌの本拠地ヴェルジッソン村のキュヴェ。トップノートには白い花、ディルやフェンネルにセージといった複雑なグリーンハーブが感じられ、そこからレモンのような柑橘の香りと石灰系のミネラルへと続き、まるで初夏のイタリア・アマルフィ海岸のような美しい風景をイメージさせてくれます。柑橘にはもう一つオレンジのエキスのようなニュアンスがあり、これはヴェルジッソン村の特徴として個人的に感じています。
均整のとれた酸が豊かな果実味と凛としたミネラルを上手く横支えし、これが美しい風味と味わいに繋がっている。もしかしたら「ジェシカ・リトーのワインとは?」という問いに最も適した解答となるかもしれないと思わせてくれるワインです。


2023年 ロザリ Rose à Lies
グラスに注がれた瞬間からローズ・ド・メイ(5月ごろにプロヴァンス地方で咲くバラ。精油は香水等に使用され大変希少なものとして扱われます。)のような芳醇でボリューム感があり、かつ甘くて官能的な香りに心が躍ります。ハーブはタイムやディル、スパイスにジンジャーのニュアンスが僅かに感じられます。熟した洋梨の蜜のような味わいに豊かなミネラル、品格がありながら親しみやすく、飲んでいて明るい気持ちにさせてくれるワインです。実際一番人気でした♪


2024年 アペロ・ヴァン・ズー L’Apéro Vin’Zou
こちらはロザリとは対照的にスーッとした香り立ち。まるでアルプスの山裾に流れる雪解け水のような冷涼さと透明感を感じさせてくれます。柑橘はレモン、ハーブの要素が豊富でディルやフェンネルといった爽やかなものに加えてラベンダーのような豊かな香りも感じ取れます。ほどよく引き締まった果実味と酸のバランスが見事な味わいで、アフターにアールグレイのような紅茶のニュアンスが良いアクセントになっております。個人的な好みとしてはこのワインが一番好きです。


2024年 プイィ・フュイッセ ラ・サンプレキシテ Pouilly Fuissé "La Simpléxité"
二つの区画のブレンドでワイン名のラ・サンプレキシテとは、Simple(シンプル)とComplex(複雑)を掛け合わせた造語。オリジナルのキュヴェだそうです。黄色い花をイメージさせるフローラルな香り、ハーブはディルやフェンネルの他にローリエのニュアンスがあるので艶と品格を感じます。このワインの特徴として石灰系のミネラルの他に動物系のミネラル(旨味)が加わっていることが挙げられます。このミネラルの複雑さとフローラルな香りの調和がこのワインの魅力。口当たりも非常に滑らかで、洋梨と青リンゴの風味が心地よく喉を潤します。

【ジェシカ・リトーの価値とは?】

価値とは?なんて少し上からな言い方になっていますが、この新しいドメーヌの何が素晴らしいのかという意味合いと思っていただければと...。

ジェシカ・リトーのワインをこうやって試飲してつくづく感じたのは、本当に高水準で丁寧な仕事から造られたワインなのだという事。決して他の生産者と比較してなどと言うわけではありませんが、とても強くそれを感じました。

彼女のワインは醸造過程で亜硫酸を一切使用せずに、瓶詰時にごく少量のみ加えるだけだそうです。ではなぜ此処まで酸化や汚染のニュアンスが一切なくピュアで洗練された味わいなのか。試飲したイメージと資料の情報を基にの考察ですが、一つ一つの工程を丁寧に積み上げているからなのかと感じています。

先日のフランス出張の際にも感じましたが、フランスにある全てのワインが美味しいなんてことはありません。少し前のブログでも書いたアン・フュージョンという流行り(?)のスタイルのワインには、不健全な香りや味わいになっているものも多数ありました。

世界的な志向でもあるナチュラル的なアプローチに傾倒することよりも、前提としてもっと大切にしなければいけない事はあるのではないかなと。

ジェシカ・リトーのワインはそれの最も模範的な例である。

それが私が思うドメーヌ・ジェシカ・リトーの価値です。
いつかドメーヌにも訪問してみたいですね。

もしかしたら少し再入荷もあるかもしれませんので、その際は良ければお試しください。